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浚渫・埋立

ST9,200PS ポンプ浚渫船「若築丸」

当社は創業の目的である港湾の整備・築造を行ってきています。浚渫用作業船は創業時にはすでに1隻を保有していました。明治34年イギリスに発注したポンプ浚渫船「第四洞海丸」を導入したのが当社のポンプ浚渫船保有の始まりです。累計35隻のポンプ浚渫船を保有しました。

ここで紹介するポンプ浚渫船「若築丸」は、当社の長年の浚渫船建造実績、浚渫工事の施工実績および施工技術を集積して昭和47年9月に建造されました。

ポンプ浚渫船「若築丸」の概要

「若築丸」全景若築丸は非航式鋼製箱形のポンプ浚渫船(ST9,200PS)で浚渫ポンプは蒸気タービンによって直接駆動されます。船を動かすために必要な装置(各種ポンプ、ウインチ、油圧装置など)はすべて電動で、蒸気タービン駆動の発電機により給電されます。その機関総馬力は約16,000PSに及ぶものであり、建造当時(平成18年現在でも)日本国内最大級のポンプ浚渫船です。

主要目

最大浚渫深度 35m
最小浚渫深度 6.5m
計画排送距離 5,000m
最大排送距離 10,000m
計画揚土量(含泥率15%として、細砂およびヘドロにて) 1,500m³/h
船体主要寸法 長75.6m×巾20m×深5.3m×吃水3.7m
排送管径 760(860)mm
浚渫ポンプ駆動用スチームタービン 9,200PS/360RPM
主発電気およびカッター発電機駆動用スチームタービン 5,600PS/1,200RPM

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ポンプ浚渫船「若築丸」の工事実績

若築丸は昭和47年9月に建造以来、国内外で多くの浚渫工事に就役し、その浚渫土量は累計で4,683万m3にもなります。4,683万m3がどれほどの容量になるかを身近なものと比較すると、東京ドーム(124万m³)の37.8杯分、10t積みトラックの937万台分にもなります。
以下に若築丸が就役した工事のトピックス、エピソード等を紹介します。

  1. 工事名:千葉航路浚渫工事 【施工時期:昭和48年1月〜2月】
    千葉港に入港するタンカーや貨物船が航行する航路の増深工事で、大型の船舶が若築丸の付近を航行する場合には工事を一時中断し、待避をするなど安全施工に注意を払いました。排送距離は約9,700mで、当社の施工実績では最長です。国内の工事でも浚渫船1隻の施工では最長と思われます。(排送距離とは:浚渫船から土捨場(埋立地)まで土砂を輸送するパイプラインの敷設延長を言う)
    航路浚渫ですから正確な浚渫場所を若築丸船員に指示する必要があります。一般的には、浚渫する場所のセンターと左右の寄り切りに50mピッチで旗を入れます。水深分の長さに切断したロープの一端には錘(テストピースなど)を結び、他端には赤や白(さらし)で旗を付けた竹竿を結びます。そして通船に乗った職員二人の同時の指示(レッコー)で錘を投げ入れます。干満差を考慮してロープの長さを調節しますが短ければ旗は水の中に沈んでしまい、長ければ竹竿が倒れ流れてしまいます。この微妙な調整が結構難しいのです。投入位置はどうして決めるのかと言いますと、当時はGPSのような正確な位置測量機器、電卓もありませんでした。よって普通は岸壁に立っている建造物を目標とし、浚渫するポイントを図面上で対数表を使い角度を算出しておき、2人の職員が通船上で六分儀を使い三角測量を行います。しかしながらこのときの浚渫位置は陸上から約10km離れています。旗入れのポイントとなる場所では陸上の目標が全く見えません。航路ブイを目標としたのですが、揺れている通船上で、揺れている一点のブイを見つけるのも大変なのに2人が同時に2つ(合計3つ)のブイを捕らえなければなりません。まさに神業でした。
  2. 工事名:稲毛人工海浜造成工事 【施工時期:昭和50年3月〜7月】
    千葉県では昭和30年頃から海岸部を埋立て、臨海工業地帯の土地造成を行ったため、砂浜がほとんど消失してしまいました。埋立により消失した自然環境の回復、レクリェーション活動の場の創造を目的として、人工海浜造成工事が行われました。
    当時の埋立工事は大雑把で、埋立地は木柵で囲んだ程度で、濁りが出るのを抑制する排水基準という規制もありませんでした。よって木柵の間、あるいは木柵が倒壊して埋立土砂が海へ流出して砂州が出来ることも度々でした。その流出砂をマーシなどで浚渫して、もとに戻すのが一般的でした。当時の千葉支店工事課長だと思いますが、それをせずにその砂州を利用して人工海浜を創造する事を発注者に提案し、採用となりました。まさに一石二鳥となりました。
  3. 工事名:スエズ運河増深拡幅工事 【施工時期:昭和52年2月〜昭和57年10月】
    スエズ運河浚渫中の若築丸昭和49年に工事が開始され、若築建設では、若築丸をはじめ第一菱和丸、第三大平丸および第二大平丸の4隻を投入し、浚渫工事を行いました。
    若築丸は昭和51年4月に日本からエジプト国スエズ運河工事現場まで回航し、運転準備を行っている際に火災事故が発生し、浚渫船の心臓部である操舵室およびその周辺を焼損しました。急遽修理のためエジプト国から日本に回航し、修理復旧工事を行い、修理完了後再びスエズ運河に回航し、昭和52年2月からスエズ運河浚渫工事を開始しました。
    浚渫現場の海底には第二次中東戦争で使用された不発弾が多数点在しており、工事中にカッターヘッド付近の水中であるいは、吸い込まれた浚渫ポンプ内での爆発などがありました。十分な対策を講じた結果、大きな事故もなく無事工事は完了しました。
    工事中にはエジプト国サダト大統領が若築丸を訪問し、若築建設及び工事従事者を慰労しました。
  4. 工事名:博多人工島ポンプ浚渫工事 【施工時期:平成9年8月〜平成14年11月】
    近年の工事では環境に配慮した工法が望まれています。特に浚渫工事では掘削に伴う周辺海域の汚濁発生抑制が急務となっていました。本工事では当社保有工法であるカバーアレスター工法(一般浚渫用(カッター掘削)濁り防止装置)が採用され、若築丸に装備することで、以前行われていたグラブ船による浚渫、一般のポンプ浚渫船による浚渫と比べて大幅に汚濁の発生を低減することが出来ました。
    また、ポンプ浚渫船の運転に伴う騒音の発生は、若築丸の駆動用機関がボイラータービンであることから、ディーゼル駆動のポンプ浚渫船に比べて低いのも若築丸の特長です。
【カバーアレスター工法】
カッター掘削による一般浚渫では、カッターの攪拌により土砂が舞い上がり、周囲が濁ります。この濁りを出来るだけ少なくする方法として、カッターの上部および、反スイング側を回転式カバーで覆い、カッターにより舞い上がった濁水をカバー内に配置された吸入口により別置の専用サンドポンプにて捕集、吸引し、浚渫ポンプの吸入管に注入することにより、濁水のカバー外への流出を防止する工法です。