技術紹介TECHNOLOGY

多点同時注入工法

恒久グラウトを用いた変位抑制型の薬液浸透注入工法

概要

多点同時注入工法は、既設構造物直下や近傍の地盤改良として適用可能な変位抑制型の薬液浸透注入工法です。本工法はこれまでの薬液注入工法と比べて注入負荷が小さく、地盤や周辺構造物の変位を最小限に抑制できるだけでなく、優れた浸透効果と工期短縮を実現させた技術です。改良対象の地盤は砂質土や砂礫土であり、港湾・海岸・空港等施設における各種構造物基礎地盤の液状化対策、岸壁・護岸背面砂地盤の吸い出し防止対策、土圧軽減対策、長期的な止水対策、地盤強化・支持力増強等に本工法を適用することが可能です。

本工法は、一般財団法人 沿岸技術研究センターが実施する港湾関連民間技術の確認審査・評価事業による技術評価を取得しています。

  • 認定番号:第14002号
  • 認 定 日:2014年11月26日(2019年9月30日第1回目更新)
  • 依 頼 者:若築建設(株)、りんかい日産建設設(株)、強化土エンジニヤリング(株)

特徴

  1. 標準的な吐出量は1.0 ℓ/分~6.0 ℓ/分の低吐出であり、脈動のない一定吐出を実現して理想的な浸透注入が可能です。
  2. 1ユニットで32箇所を同時注入する専用の多連ポンプを採用しているため、低吐出でありながら施工能力が従来工法よりも高い工法です。
  3. 注入プラントはユニット化されているため、狭隘地での施工性に優れた工法です。
  4. 注入管は内径6mmの細いフレキシブル管(結束注入細管)を採用しており、注入管の長さを任意に調整可能であるため、適切な位置に注入口を配置できます。また、生分解性注入管を採用することもでき、注入管の残置が困難な場所への適用も可能です。
  5. 各注入箇所の注入圧力・吐出量を監視し、このデータをリアルタイムに表示・記録・制御する管理装置(一括集中管理システム)を採用しており、薬液注入において緻密な施工管理が行えます。
  6. 変位測定装置と連動して吐出量をリアルタイムで制御する変位観測制御システム(DCIシステム)を導入することで、近接する重要構造物や地盤の変位量を許容値内に抑えながら施工を行うことができます。
  7. 液状化対策等で使用する注入材は、耐久性に関する理論と現場実証がなされた活性シリカ系の注入材(恒久グラウト)です。

実績

  • 液状化対策:舞鶴港五森地区桟橋(-5.7m)地盤改良工事【国土交通省】
  • 液状化対策:千葉港改修工事(-7.5m岸壁改良)【千葉県】
  • 液状化対策、土圧軽減:八代港(外港地区)岸壁(-14m)改良(起点部)工事【国土交通省】
  • 液状化対策(震災復旧):A事業所内護岸復旧・補強工事【民間】
  • 吸い出し防止対策:金沢港(大野地区)岸壁(-13m)上部築造工事【国土交通省】
  • 液状化対策:B事業所震災対応桟橋新設工事のうち地盤改良工事【民間】
  • 吸い出し防止対策:下関港(西山地区)岸壁(-12m)(改良)工事【国土交通省】※注入ポンプおよびマルチ多連システムを二重管ストレーナ工法で使用

工法協会・工業所有権

  • 【工法協会】地盤注入開発機構 恒久グラウト・本設注入協会 液状化防止注入協会
  • 【工業所有権】本工法は、強化土エンジニヤリング(株)および日本基礎技術(株)による工業所有権(特許ならびに商標)が成立済みです。

関連資料

  • 液状化防止注入協会:超多点注入工法技術マニュアル、平成24年2月版
  • (一財)沿岸技術研究センター:港湾関連民間技術の確認審査・評価報告書(第14002号)、平成26年11月(令和元年9月更新)