技術紹介TECHNOLOGY

革新的事業「増深工法」

概要

船舶大型化への対応と、既存施設の有効活用を目的として、既設の重力式岸壁・護岸の前面の水深を深くする(増深する)工法を開発しました。この工法は、捨石マウンド内の一部に可塑性グラウトを注入し、このグラウトが固化した後に、岸壁・護岸の前面の捨石を掘削する工法です。既設岸壁・護岸の法線を変更せずに、2~3m程度増深できます。 なお、本工法は、(国研)港湾空港技術研究所と(一社)日本埋立浚渫協会との共同研究において開発し、(国研)港湾空港技術研究所から委託された「革新的社会資本整備研究開発推進事業」において実用化した技術です。

特徴

  • 岸壁・護岸の法線を変更せずに、前面の水深を2~3m増くすることができます。 
  • 施工範囲を狭い範囲に限定できるため、増深対象の岸壁・護岸の一部を供用しながら施工できます。
  • 既存の岸壁・護岸の有効に活用できます。
  • 既存岸壁・護岸の撤去や置換えが不要であるため、これまでの工法よりも安価となることが期待できます。



◆ 施工方法
 ① 重力式岸壁・護岸の捨石マウンドに対して、前面直下付近の一部へ可塑性グラウト(※)を注入します。
 ② 可塑性グラウトが固化した後、岸壁・護岸の前面の捨石マウンドを、必要な水深まで掘削します。


◆ 適用条件
 1) 増深する深さより捨石マウンドが厚く、改良体を形成する範囲が確保できること。
   例えば2~3mの増深を行う場合は、捨石マウンド厚として4m以上が必要です。

 2) 捨石マウンド内に夾雑物(砂、粘土、貝殻等)が少ないこと。
   夾雑物が多い場合は、可塑性グラウト注入前に、夾雑物を除去する必要があります。


 ◆表彰
令和6年度日本港湾協会 論文賞

資料

この資料は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所の委託研究として、五洋建設株式会社、東洋建設株式会社、東亜建設工業株式会社、若築建設株式会社、あおみ建設株式会社、株式会社本間組、みらい建設工業株式会社、りんかい日産建設株式会社が実施した革新的社会資本整備研究開発推進事業の成果を取りまとめたものです。


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